ガールズ講座では、活用できる制度として障がい福祉サービスの情報提供にも時間をとっています。就労だけでなく、障がいの手帳をとったり、障害年金受給なども(手続きはひと山の仕事、たいへんなことですが)組み合わせて、生活のための資源と考えているからです。
最近では精神的な病気や障がいをもつ方向けの「就労移行支援事業所」が増えてきています。
だれもが使えるわけではありませんが、心の不調はだれでもなることがありますので、知っておいていいサービスだと思います。
今回は、講座11期(2014年)卒業生の先輩で、こうした事業所で働くNさんに業務としておこしいただき、第24期講座の中で情報提供してもらいました。とてもわかりやすかったんです! これまでにないプログラムで、みなさんに聞いていただきたく、ここに報告掲載しておきますね。
Nさんはご自身も生きづらさを感じて、自助グループ「zai girls」も主催されています。
お仕事では、グループホームや福祉アンテナショップでの職員をへて、現在はスタートしたばかりの横浜市金沢区の就労移行支援事業所「こねくと」で、スタッフとして働いていらっしゃいます。「仕事や研修で知り合った人とかかわっていくなかで、紹介やお誘いを受けて今の仕事に結びつきました」とのこと。
以下、内容をざっくりとお伝えします。
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■就労移行支援サービスって?
障がいや難病を持っていて、一人では就労がむつかしい方が知識やスキルを身に着ける訓練をする事業所です。これは障害者総合支援法という制度に基づいて行われている福祉サービスの一つです。利用は2年間までと決まっているので、体調が安定してきたときに、いろいろな事業所を見学して自分に合ったところを探していただくと、有意義に使えると思います。
支援事業所はたくさんあって、運営法人や会社の方針でいろいろです。たとえば、主にPCスキルを磨いて事務職をめざす事業所もありますし、ボールペンづくりや印刷など軽作業を通して集中力を養うものもあります。発達障害の方がつまづきがちなコミュニケーションを訓練する事業所もあります。
■どんな人がどんな場合に使えるの?
働いていなくて、障がい(身体・知的・精神・発達)、難病などがある方です。障害者手帳を持っていない方も、医師の診断や自治体の判断によって利用できます。その場合、「受給者証」を役所(横浜市では区役所の障害福祉課)に申請することが必要です。
福祉的な支援を受ける就労(就労継続支援A型やB型)をめざす場合は当てはまりません。でも就労移行支援を利用したけれども一般の就労に結びつかなかった、という方が福祉的就労につながることはあります。
費用は、ほとんどの方が無料で利用されています。(世帯収入にもよりますが、18歳以上の利用者については「本人と配偶者のみ」の収入で、親御さんの収入は算定されません)
■どんなことができるの?
私の働いている事業所は、グループワークを多用したおよそ20種のプログラムと、そこから自己理解を深めていけるところです。実務的な訓練もだいじですが、それに先立つ 生活するうえでの土台作りを大切にしています。からだを動かしたり、自分がリフレッシュできる活動をすることで、ストレスに負けない力をつけて「自分らしく働く」ことを目標にしています。
就労のための面談だけではなくて、自分の生きづらさを相談することもできます。いろいろなスタッフがいるので、きっと話しやすいスタッフがいると思います。
週に何日通うかもご本人の希望をうかがって決め、段階的に少しずつスモールステップを踏みながら目標達成できるように取り組みます。
(大手の事業所では体調がもう整っているのが前提で週3日から始めて、週5日に移行していくというところもあります)
訓練がすすんで、就職面接に行くときにもスタッフの同席ができます。また、就職してからも半年間、定着支援といってサポートが受けられます。ご本人を中心に、会社の人と支援員が同席して面談もできます。それ以降も契約すれば定着支援を続けられます。
■さいごに
これから就労をめざす方に。一つの選択肢として「就労移行支援」っていうのがあったな、と思い出していただければ幸いです。利用する際には、見学や体験をしながら、自分に合ったところかどうか、通えるかどうか、相談していただけたらと思います。
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これだけのことを整理して文にして、お伝えいただけたのはギフト!
Nさん、ありがとうございました。
【おまけ】
2021年1月にこちらで行ったセミナー「ゆっくり進む、就労移行支援を活用する」でも、講座卒業生の体験談と、利用した支援事業所スタッフの方からの使い方レクチャーをお聞きしました。合わせてごらんください。