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横浜市の男女共同参画センターによる働きづらさに悩む「ガールズ」サポート

利用者の声

からだを動かして、やってきました。頼れる場所を複数持つといいかな。

  • 2019/06/03

2019年5月 第21期 講座で いおりさん(2015年春のガールズ講座を修了)の体験談を聞きました。

「自分の限界を感じたことが転機になって、福祉サービスも活用。

対人支援の仕事を目指しています。

からだを動かしてやっていくことで、なりたい自分に近づいていると思う。」

・講座に来られた頃はどんなふうでしたか。

 

出身は関東近県です。家庭がいろいろ複雑で、、、居場所がなかったんですね。

大学にやっとの思いで入ったものの、行けなくなってしまって。21歳の時、誰にも言わずに、夜中にキャリーケースを持って家を出ました。そのとき付き合っていた人のところに転がり込んだんです。

そこでこのままじゃいけない、もともと一人で暮らしたいと思っていたので、派遣に登録して単発の試食販売をやってみたり。でも不安定だからもう少し安定したバイトをしたいと思って。検索して、応募して、面接に呼ばれるんですが、当日になるとふるえが止まらなくなって行かれなくなったりしました。人間関係の恐怖が強くて、面接に行けない。それがくりかえされるうちに、どんどん自信がなくなっていって。

ネットで「よこはま若者サポートステーション」を見つけて、そこへ行って、ガールズ講座を紹介してもらって、通うようになりました。

 

・「ガールズ講座」の11回の中で、覚えていることはありますか。

 

料理の回とアサーティブの回。ありのままの自分の気持ちを知ること。

チラシに「女性のための」と書いてあったのに、まず面食らってしまいました。私は高校が女子校で、女子の人間関係が苦手だったので。ただ、講座は途中退室がOKだったり、詰め込み式の内容じゃなくて、時間にもむりがなかったので、まずは女子の世界に慣れるんだ、と思って応募しました。最初は緊張しましたが、職員の方が話しやすかったので、なんとか通えたのかな。

とくに印象的だったのは料理の回です。人とコミュニケーションをとりながら作業していくことに苦手意識があったんですけれど、時間もむりがなくて、日頃からしている家事が少し生かせて、それほど緊張せずに取り組めたんです。食事を作り終えたときにはみなさんとの距離が少し縮まっていて、和気あいあいと食べられて、その思い出はすごく短い時間だったんですけど、いまでもふっと思い出します。自分にとって平和な時間、でした。

もうひとつ、アサーティブ・コミュニケーションでは、「自分の気持ちを大切にする」っていうのがいつもいつも目の前のことでいっぱいいっぱいで、むつかしいことだな、と。それでアサーティブの本を買って、勉強するようにもなりました。

 

そのような回に限らず、こちらの講座全体で気づいたことは、できないことをできないって言ってもいいんだな、まちがえてもいいんだな、自分一人でなんでもかんでもこなせなくてもいいし、むしろみんなで考えてみんなでもがけるようになればいいんだ、ということでした。それは社会人として働くうえでもだいじなことだな、と気づきましたし、同時に、自分の気持ちを抑えてばかりじゃなくて、ありのままの気持ちをまず認めて知るっていうことがいかに大切か、に気づかされました。

それから、定期的に自分の体調や気持ちをふりかえって自覚することがだいじなんだな、と。なかなかていねいに生きていないので私にもできないんですが、いま振り返ってもそんなふうに思います。

 

・ガールズ講座修了後は、どんなことをしましたか。

 

バイト。燃料切れ。病気。自分の限界を感じたのが転機に。

気づいたら講座を通い終えたという達成感があって。だけど、講座を卒業したからといってすぐに就活に取り組めたというふうではなくて、もっと長い目で自分と付き合っていくうえで、必要なことを学ばせてもらったな、という感覚があります。

私は、いろんなアルバイトに申し込んで、やってみることはできたんです。けれども、人のこわさとか、自分のコンプレックスがある。たとえば、勉強しようと思ってカフェに行っても、大学生同士が「卒業旅行がさあ」とか話しているのが聞こえてくるだけで、自分は行きたくても行けなかった、今頃こんなはずじゃなかった、ちゃんと働いて貯金もあるはずだったとか思って、わーっと泣き出して過呼吸になるとか。苦しかったです。バイト先でも自分より若い人たちがすごく楽しそうにしているのを見ると苦しくなってしまったり。

そのときは気づけなかったんですけど、躁うつ病、PTSDを発症していたみたいなんです。(躁のときは)寝ないで何かできるとか、私は人間関係が苦手なんだったら体力があるから夜勤ならできる!とか思って、求人の多い介護施設で夜勤のバイトをやったり。高卒で資格もないから、介護だったらと。

それで4,5カ月もすると自分の中で燃料切れが起きるんですよ。朝起きれない。からだが動かない。頭に輪が入ったみたいに痛くなることが続いて。こわい。アルバイトに行けない。人手がないから、「あなたは若いんだから飛び回って、なんでもやってよ」と言われるんだけど、資格もないのに夜中じゅうひとりで複数のお年寄りの面倒をみるなんてとてもむり、と思ってやめる。あんなに意欲的な気持ちはどこにいってしまったのかな、と。それでまたやる。やめる。自信をなくす。そのくりかえしです。

病気がいちばんひどい時でした。朝起きて歩けなくなったりして。それなのに、気持ちだけは必死だから、介護の仕事に就くための講座とか、頭がくらくらしながら、あっちこっち行って。そこで会った人に、「統合失調っぽいね」と言われて。そうとう参ってたな、と思うんですね。意識が散漫な状態で。そう言われて、涙が止まりませんでした。

自分はずっと病気なんかじゃないと思っていたのが、その時初めて、これはもう限界だな、と思いました。

 

「障がい枠」の就労を知り、就労移行支援を活用。

フォーラム南太田に来て、職員に話して、泣いて。区役所にも行って、今行っている病院を紹介されました。その時、初めて「障がい枠」の就労というのがあることを知りました。作業所とかでモクモクと何か作り続けるというだけじゃなくて、もっといろいろな仕事があるとわかって、一気に光が差したような気がして、自分も働くことができそうだと希望が持てた。その後、その枠で就労するために手帳もとったんですけど。

通院し始めてから薬をのむようになって、波はあるんですけど、一時期のひどい状態からは抜け出ることができた。それから、人の紹介で、個人宅で家事を手伝うボランティアもするようになって、一歩家から出て、やり直すつもりで。少しずつ体力をつけていって。フォーラムで紹介してくれるボランティアの中でも、子どもとかかわるものを選んで、いくつか参加させていただきました。

 

その半年後に、就労移行支援事業所に通うようになりました。そこは軽度の障がいの方が多いのですが、自分の体調に合ったペースで、週三回から始めました。カリキュラムも自分で選べて、コミュニケーション、パソコンで文書作成、ビジネスメール、電話応対の練習とか。自分の強みもスタッフさんが教えてくれたし、自己理解の棚卸しプログラムでは、案外できないことばかりじゃなくて、自分もできること、いいところがあるんだなと気づけるんですよ。

かねてから私は対人支援の仕事に興味があったので、教育福祉関係の会社を選んで3日間、実習にも行きました。お仕事に近いことをさせていただく中で、自分はどんな仕事に向いているのか、職場環境はどんなのが向いているのか、変化が多いとどうなるのか、自分を知るのに役に立ちました。

 

福祉サービスも使って、対人支援の仕事をしたい。

ガールズ講座だけじゃなくて、福祉サービスも役に立つと思って今日はお話ししているんですが。

サポートがあればできることがある。一般の就労とちがうのは、自分と企業の間にサポートスタッフが入ってくれることです。環境調整をしてくれたり、メンタル相談に乗ってくれたり。定着支援というんですけど、それがあることで定着率が全然ちがって、3年以上同じところで働いている人が多いそうです。

履歴として「障がい枠」で働いたと書く必要もないので、ふつうに書けるし、足掛かりになると思います。

就労移行支援事業所に9カ月通った時、対人支援の仕事である学童クラブのアルバイトをすることになりました。3年勤めて、保育士資格をとれればと思ったんです。

ところが、半年ぐらいたって、足のけがが完治してないときに、むりな体力仕事を頼まれて、「それはできないので内勤にさせてください」と言ったらば、翌週からシフトをすごく減らされてしまいました。そこで子どもの見方をめぐっても責任者の人の考えと合わなくて、もうその時はこれ以上転々としないで働くためには障がい枠しかない、といい意味で決心をできて、そのアルバイトをやめました。

それで再び同じ就労移行支援事業所に通って、いま就活をしています。

 

・最後に、今講座に参加されているみなさんに伝えたいことがあったら、お願いします。

 

からだを動かしながらやっていく。頼れる場所を複数もつ。

ひとつは、調子の悪い時はとくに頭の中だけでぐるぐる考えてしまいがちだけど、体も動かしながらやっていくと、自然と次のステップが見えてくるんだな、と。エラーも起きるし、予定通りいかないことも多いです。でも時には後退しても、そうやって体を動かしてやっていると、結果的には少しずつ自分のやりたい方向、願っていることに近づいているのかなって思います。無駄なことって一つもないんだなと感じます。

二つ目は、困ったときに頼れる場所を、目的に応じて複数持っておくことが大切だなっていうことです。専門機関も使い分けられるといいです。

最後に、自分にとって、フォーラム南太田という場所はいつでも自分が迷子になった時に、あたたかく見守ってくれて、次の一歩を踏み出すきっかけを作ってくれるところでした。

 

短い時間で、情報量が多くて申し訳ないですが、ご清聴ありがとうございました。

 





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