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横浜市の男女共同参画センターによる働きづらさに悩む「ガールズ」サポート

利用者の声

「本来の明るさ取り戻せた~他の人がどう思うかではなく、自分がどう思うか~」

  • 2018/06/26

2018年春のガールズ講座(第19期)で、“タクさん”(2016年春、第15期修了)が体験談を話してくださいました。

当日のお話をご本人の了解を得て掲載します。

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今日お話しくださる“タクさん”は、現在、家族で営む会社で、専従者として働いていらっしゃいます。

   帳簿付け、書類の作成・整理などのほか、現場への配達や納品、作業をおこなうこともあるそうです。

       

■今回は体験談を引き受けてくださってありがとうございます。初めは引き受けるのをためらわれたそうですね。

体験談のお話をいただいた時、とても光栄でしたが、正直『私で務まるのか』不安でした。

先ほどの紹介で『かなりちゃんとしている人なんだな』と思われた方が多いかもしれませんが、

実態は『38歳・独身・恋人ナシ・親と同居・産まれてこのかた一人暮らしの経験なし。

職人仕事なので、忙しさによって働く時間は日によってバラバラ・もらっている収入だけでは到底経済的自立は無理』…こんなもんです。

       

私自身は、今の状況になって心身共にラクになれたのですが、

みなさんが『こんなもんかぁ』とがっかりしたり不安になったりするのでは…と心配でした。

その旨をお返事したところ、

『ガールズ講座では「自立する」ことをイコール「経済的な自立」「一人暮らし」「雇用される働き方」とはしておらず、

自分に具合のよい暮らし方・働き方を自分で選択していくことを大事に考えていきたいと思っています』

と言っていただいたのでお話しさせてもらうことにしました。

       

■現在の働き方について教えてくださいますか?

うちは、会社とは名ばかりの小さな自営業者です。主な担い手は父と母。     

忙しい時は、朝から一日動き回る日々が続くし、暇な時はホントにやることないです。

特に私はやれる仕事内容が少ないし、暇な時は人手が余ってしまうので、

そんな時は、居住スペースで掃除機をかけたり食事の買い出しに出たり、祖母の病院に付き添ったりしています。

 

先ほどの紹介で『専従者』という言葉をあえて使ってもらいましたが、

厳密に言えば『専従者=自営業者用語』なので『有限会社=パートorアルバイト』になるみたいです。 

       

一般的には『パート・アルバイト』は短時間勤務で時給制というイメージがあると思いますが、私は月給制です。

もっと言うと『パート』は勤務時間長めで、常勤的『アルバイト』は勤務時間短めで臨時的なイメージがあると思いますが、

社会保険事務所の職員さんに伺ったところ『どっちだっていい』と言われました。そんなもんなんですって。職業名なんて。

何が言いたいかと言うと

「言葉のチョイス次第で、印象なんていくらでも変えられる」ということです。

『自分がしっくりくる言葉』を選んで話せるようになると、少し気持ちが楽になると思います。

 

■ガールズ講座に参加するまでに、長期間の就労や、ハローワーク・サポステの利用、資格取得など色々と経験されていますね。

高校3年の秋から整骨院の受付・施術助手として15年続けて働いていましたが、

長年に渡り院長から精神的に追い詰められており、退職しました。

 

その後、ハローワークに通って失業給付を受けましたが、一度も応募せず終了。

ハロワの同じビルにある『かながわ若者就労支援センター』の話を知り合いから聞き、調べてみたんです。

 

そのときに「サポステ」(よこはま若者サポートステーション)の存在も知り、

『自分にはこちらのほうが向いているんじゃないか?』と思い、利用を開始しました。

 

始めの頃は、担当の方との相談はただひたすら泣きまくるだけ。優しくされると余計泣けてくるし、自分の事を話すと涙が止まらなくなっていました。

相談の他、プログラムCBT(認知行動療法)・自己プロデュースセミナー・ストレッチ体操・Excel講座などにも参加しました。

 

その後『介護職員初任者研修』の資格を取得。就職相談を受け、介護業界の派遣会社に登録し

『小規模多機能居宅介護事業所(少人数のデイサービスみたいなもの)』を紹介してもらいました。

そこで働き出したのですが、先輩(1名)からかなり厳しい指導を受けてしまいました。

周りの方々がフォローしてくれ、その先輩も転職していなくなったのですが、

『紹介派遣(ゆくゆくは正社員になるつもりでという約束つき)』で派遣されていたため、

夜勤ヤダ・車の運転ヤダ・食事作りヤダ⇒続ける気はない で、3ヶ月で終了となりました。

 

当初より心身ともに不調ではあったのですが、その頃更に体調が悪化してしまい、

血便が出たり、頭痛で毎日鎮痛剤を飲むほどになり、心療内科を受診することにしました。

 

ですが精神科の薬の服用には抵抗があったため、しばらくは診察のみで対応してもらっていました。

その後、別のデイサービスを紹介してもらって働き始めたのですが、ここも4日で辞めてしまいました。

 

服薬開始はそれからです。抑うつと診断され、自立支援、カウンセリング、知能検査などを利用し、

登録していた派遣会社は辞めることにしました。

 

■障害者手帳を取得されたのですよね。

派遣会社に登録している間も、サポステを継続的に利用していました。

気分的な負担になりにくいプログラムを定期的に受けていたのですが、

あるときサポステの担当の方から『障害者雇用枠』での働き方を聞き、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することにしたんです。

 

手帳を取得すると横浜市福祉特別乗車券(無料パス)交付・博物館等の入場料免除・携帯電話契約の割引優待などが受けられました。

 

そして就労移行支援施設を見学したり、就労支援センターで話を聞いたりしました。

だけど私自身は「何か違う」と感じていたんです。

 

その頃参加したサポステプログラムの中に『働くまでの道のり』ということで

様々な働き方・生き方をご本人が語るものがありました。

そこで林恭子さん(一般社団法人ひきこもりUX会議)のお話を伺った際、ガールズ講座のことを知りました。

ガールズ講座が『女性だけの講座である』こと、『林さんのお話がまた聴けるかも』と思い、受講したいと考えました。

それで説明会に参加し、受講することを決めたんです。

 

■講座に参加してどうでしたか?

女性のみの講座だったこと、考えや意見を否定されない『安心安全な環境』であったことで

共感したり悩みを打ち明けたりしやすかったです。支援機関の利用者は男性が多いので・・。

 

元々、自分の悪いところ探しが上手で、人と比べてばかりいて自分を好きになれなかったのですが、

職場で自分を否定され続けたため、更に自信を失くし、自分の事が大嫌いになっていました。

 

でも講座の受講中『大きい声で発言してくれるから次に続いて発言しやすい』とか

『頼りになる』とか『居てくれると場が明るくなる』とかプラスの言葉をたくさんかけてもらいました。

『自分みたいな人も必要だよね〜』『私も悪いやつじゃないな』なんて思えるようになりました。

 

■ガールズ受講修了後はどのように動かれたのでしょうか?

サポステの担当の方に、家業を手伝い出したこと、給料も出ていることを伝えたところ、

『それは立派な就労だよ』との判断が出て、サポステの利用は終了することになりました。

 

ガールズ講座修了後、横浜で行われる「ハンドメイドマルシェ」という大きなイベントに参加することにしました。

ガールズ同期生を中心に、数人での参加です。学生の頃に戻ったような感じで、大変な事もありましたが学園祭みたいで楽しかったです。

 

■社会参加体験(ボランティア)にもたびたび参加されていました。

はい、何度も参加しました。

「ハンドメイドマルシェ」終了後、とにかく気持ちが焦り『何かしなくては』と思っていました。

リサイクルきものを扱う「ファイバーリサイクルネットワーク」さんでは、

値付け作業、事務所の整理整頓、きものフェアの手伝いなどをしました。

また、「おもしろ科学たんけん工房」さんでは、お祭りで来場者におもちゃの作り方を教えました。

「子どもの日曜日の居場所プロジェクト」では昼食・デザート作り(子ども食堂)、

「光のぷろむなぁど」ではブースの手伝い(冬の地域ぐるみのイベント)なども経験しました。

 

社会参加体験では、ガールズの先輩・後輩との交流ができて嬉しかったし、受け入れ先のみなさんも温かく迎えてくれました。

ただ、頼りにしてもらえて嬉しかった半面、場合によっては、それが少し負担に感じることもありました。

また受入団体の皆さんはガールズ事業を理解してくださってはいますが、あくまで『ボランティアの一員』として接してくれているので、

時には「いつか自立できるといいね」など動揺することを言われたりすることもありました。

 

そのほか、ガールズ同期の子が携わるボランティア『小学生と清掃活動』

『視覚障害を持った方を交えてのウォークラリー』など本当に色々な活動を経験をしました。

 

【参考】フォーラム南太田の「社会参加体験(ボランティア)」紹介ページ

 

■人も場所も内容も異なるさまざまなボランティアに参加していかがでしたか?

さきほどお話ししたように、自分の本心はちょっとしんどかった時もあるけれど、

とにかくいろいろな人と接することで『意外と社交的に振る舞えるもんだな、自分』と思えたのは大きかったです。

頼られる=人に信頼されている⇒自分に自信を持っていいんだ!と思えるようにもなりました。

 

実際にやってみて『金銭を落ち着かない状況で扱うのはやっぱりイヤだな』とか

『大勢を相手にするより、個人に対応できる作業のほうがいいな〜』とか

『興味のあるなし』とか『嫌だと感じること・やりたくないこと・回避したいこと』がだんだんはっきりしてきました。

 

『はじめまして』の場所へ行くことに慣れてくると、自然と自信がついてきます。

怖さや不安より『とりあえずやってみよう』と飛び込めるようになりました。

でも『仕事に就く』事を考えると泣いてしまうのはあいかわらず…なのですが(笑)

 

■フォーラムの講座や相談、イベントなども積極的に利用されたそうですね。

フォーラムのチラシ、ホームページ、メルマガなどから情報を得て、興味を持ったものに参加し続けました。

たとえば

・労働サポート相談⇒『障害年金の受給者対象に該当するかしないか』本来の相談範囲ではないところまで親身になって対応していただきました

・女性のための就労準備&パソコン講座

・フォーラム(戸塚)でのキャリア・カウンセリング、起業準備セミナー⇒元々、企業で雇用される働き方はあまり望んでいない気持ちがはっきりしてきました

・その他ヨガ、ストレッチなど

・フォーラム3館の図書館⇒制度やしくみについて、生き方についてなど、仕事以外のことも扱う本がたくさんありました。

それからフォーラムのおまつりにも行きました。

 

■フル活用ですね!ガールズ講座をはじめとするフォーラムの資源や、他の支援を活用されたこの数年を振り返って、今どんな風に感じていらっしゃいますか?

 

この数年間で、新しい人との出会いがたくさんあったし、行動範囲も広がりました。

そのおかげで、本来の自分の明るさを取り戻せたと本能的に感じています。

人それぞれ、生き方や考え方は違っていていい。

他の人がどう思うかではなく、自分がどう思うかで選んでいい。

『みんなと一緒』じゃなくていい。

 

今までは、悩みや困難には立ち向かわなくてはいけない・逃げてはいけないと思っていました。

でも、イヤなら回避してもいい。逃げてもいい。

常識ばかりにとらわれず、常識を破ってもいいと思えるようになり気が楽になりました。

 

きっとまだ先は長い。

焦らず自分に正直に、穏やかで明るい将来のために

『使えるものはどんどん使って、自分に必要な情報をどんどん引き寄せて』一日一日を大切に楽しんで生きていきたいと思っています。

 

「自分で選択し続けて生きていく」これが今の私のキーワードになっています。

 





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